田道間守と非時香菓

また天皇、 三宅連みやけのむらじ の祖、名は 多遅摩毛理たぢまもり を 常世とこよ の国に遣はして、 非時ときじく の かぐ の 木実このみ を求めしめたまひき。

故、多遅摩毛理、遂にその国に到りて、その 木実このみ を採りて かげ 八縵やかげ 、 ほこ 八矛やほこ を  ち  たりし間に、天皇既に かむあが りましき。

ここに多遅摩毛理、 かげ四縵よかげ 、 ほこ四矛よほこ を分けて、大后に献り、縵四縵、矛四矛を天皇の御陵の戸に献り置きて、その木実を ささ げて、 さけ び  きて白ししく、

常世国の非時の香の木実を持ちて参上りて さもら ふ」とまをして、遂に叫び哭きて死にき。

その非時の香の木実は、これ今の橘なり。

この天皇の御年、 一百五十三歳ももあまりいそぢまりみとせ 。御陵は 菅原すがはら の 御立野みたちの の中にあり。

またその大后比婆須比売命の時、 石祝作いしきつくり を定め、また 土師部はにしべ を定めたまひき。この后は、 狭木さき の 寺間てらま の はか に はふ りまつりき。

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